(2011〈平成23〉年10月〜2012〈平成24〉年11月) |
1) | 全国の自治体で追跡調査の承諾を得られた6地区8市町で、FRP内面補強工法で、施工された補修箇所のTVカメラ調査および各地区での切り取り調査を実施し、補修箇所の機能(止水)保持状況および経年による補修材の残存強度を調査し耐久性について確認する。 | |
2) | 調査地域を全国的に行い施工地域差および東北地方太平洋沖大地震による影響を調査する。 |
1) | 宮城県・福島県 平成23年11月11日〜11月30日 | |
2) | 北海道・関東・中部・関西・四国・九州地区 平成24年7月〜11月30日 |
1) | TVカメラ調査 自治体より承諾を得られたFRP内面補強工法(熱・光硬化)の補修箇所を高圧洗浄後TVカメラ調査によりビデオ・写真撮影し評価判定する。 |
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2) | 切り取り調査 自治体より承諾を得られたFRP内面補強工法(熱・光硬化)の補修箇所を高圧洗浄後ロボットカッター等で施工物を採取し、公的試験機関で供試体を成形し曲げ強さ試験(JIS K 7171 1994)を実施して経年における残存強度を検証する。 |
1) | TVカメラ調査 283箇所(内 切り取り8箇所) |
@ 北海道・東北地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 | 調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
札幌市厚別地区 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成14年 | 10年 | Φ250 | 3 |
仙台市・高崎町他 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成16年 | 1〜9年 | Φ250〜Φ700 | 53 |
福島県須賀川市他 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成14年 | 5〜12年 | Φ150〜Φ500 | 73 |
A 関東地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 | 調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
埼玉県越谷市 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成14年 | 10年 | Φ200 | 2 |
B 中部・北陸地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 | 調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
愛知県豊明市 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成5年 | 20年 | Φ250 | 97 |
C 関西地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 | 調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
大阪府富田林市 | ○ | ○ | 光硬化 | 平成13年 | 11年 | Φ250 | 11 |
D 中国・四国地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 | 調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
愛媛県松山市 | ○ | ○ | 光硬化 | 平成10年 | 14年 | Φ250 | 23 |
E 九州地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 | 調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
福岡県宗像市 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成18年 | 6年 | Φ250 | 18 |
1) | TVカメラ調査の結果 6地区の8都市において、FRP内面補強工法で施工した補修箇所の施工後6年〜20年経過した283箇所をTV調査した結果は、経年による不良・不敵箇所は見られず、補修目的である浸入水・クラック等の補強対策等十分に機能を保持している事が確認できた。特に愛知県豊明市の経年20年(経年19・7年経過)の97箇所のうち、補修箇所にスカム等の付着物の多い3箇所に超高圧洗浄を実施したため、端部等を破損させた以外の94箇所において当初目的の止水・補強対策を 十分保持している事が確認できた。また、本調査は平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)後の調査であり、東北地方を含めて地震の影響による補修材の 一部端部損傷は見られたが、補修材の目的である止水・補強対策を十分維持していることが確認された。 |
2) | 東北地区 (宮城県黒川郡富谷町 他) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成14年度に施工した3スパン3箇所のFRP内面補修箇所は、下記表に示す通り経年10年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。
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3) | 東北地区 (福島県須賀川市、白河市、南相馬市) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
当地区は平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震後約6カ月後にTVカメラ・切り取り調査したもので、76箇所のうちVU管の端部が1箇所損傷を確認したが75箇所については全く異常は見られず、経年および大地震による影響はほとんど確認されなかった。切り取りは経年9年のφ500を1箇所切り取り調査実施した。
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4) | 関東地区 (埼玉県越谷市東越谷二丁目地先) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成14年度に施工した1スパン2箇所のFRP内面補修箇所は、下記表に示す通り経年10年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。また、切り取った後クラック部にFRP樹脂が注入されているのが確認されクラックの補強および拡大を防止している。
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5) | 中部・北陸地区 (愛知県豊明市沓掛町地先) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成4年度に施工した6スパン97箇所のFRP内面補修箇所は、下記表に示す通り経年20年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(止水・クラック補強)を維持していることが確認された。また、切り取った後クラック部にFRP樹脂が注入されているのが確認され、クラック部からの止水・補強およびクラックの拡大を防止している。 補修材の端部には、20年経過しているが端部樹脂が既設管に圧着・接着されていて端部を防護していることがTV調査で確認された。
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6) | 関西地区 (大阪府富田林市久野喜台二丁目地先) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成13年度に施工した2スパン11箇所のFRP内面補修箇所は、下記表に示す通り経年11年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。また、切り取った後クラック部にFRP樹脂が注入されているのが確認されクラックの補強および拡大を防止している。
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7) | 中国地区 (愛媛県松山市雄郡二丁目地先) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成10年度に施工した13スパン24箇所のFRP光硬化内面補修箇所は、下記表に示す通り経年14年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。また、切り取った後クラック部にFRP樹脂が注入されているのが確認されクラック部からの止水・補強およびクラックの拡大を防止している。
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8) | 九州地区 (福岡県宗像市日の里地先) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成18年度に施工した6スパン18箇所のFRP光硬化内面補修箇所は、下記表に示す通り経年6年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。また、切り取った後クラック部にFRP樹脂が注入されているのが確認され、クラック部からの止水・補強およびクラックの拡大を防止している。
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イ) |
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ロ) | 経年による曲げ弾性率の推定値 8地区で切り取った供試体は、施工後下記の経年経過していて、その各々の基本物性値の劣化推定値は、FRP内面補強工法の材料(標準T)クリープ試験結果の回帰式を使用して推定値を求める。 |
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1) | 経年時の曲げ弾性率保持率の回帰式 Y=-4.3952X+97.41 (JIS K 7116試験結果より) Y:経年時の曲げ弾性率保持率 (%) X:経年時間 (log 分) |
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2) | 経年時の曲げ弾性率の推定値を求める。 経年時の曲げ弾性率推定値=短期保証値(5,900MPa)×弾性率保持率 (%) |
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3) | 修繕のFRP補修材は、土被り・地下水位等より材料の曲げ弾性率により補修材の厚みを検討するために、経年時の曲げ弾性率の劣化度がクリープ試験の回帰線(理論値)に対しどの様な状態かを検証するものです。 |
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ハ) | 物性試験の結果(曲げ強さ・曲げ弾性率) 平成17年度に全国8地区で切り取り調査を実施し、また平成24年度同じく全国8地区での切り取り調査を実施し、経年20年の愛知県豊明市は平成17年度調査した現場を継続して切り取り調査を実施した結果は、前回(平成17年)の調査時より曲げ強さ・曲げ弾性率はいずれも約17%低下したが、短期保証値を上回る試験結果であった。 また、経年6年〜14年の資料においても、顕著な劣化現象は見られず、いずれも短期保証値(曲げ強さ・曲げ弾性率)を上回る結果となった。 |
第5回切り取り調査の結果は、第3回切り取り調査(平成17年度)と同様に、調査8地区全て経年(6〜20年)による補修材のクリープ劣化は、短期保証値を上回る結果であった。 本来補修材の物性値は経年によってクリープ劣化するが、本調査では顕著な劣化現象は見られない結果となった。JISの長期クリープ試験は、水中・気中試験とも、試験供試体(平板・リング)に一定の荷重を架け応力状態でのクリープ試験であり、FRP内面補修材は既設管渠の内面に部分的に補修されていて補修材に常時応力が発生することが少ないために、JISクリープ試験(理論値)より劣化度が少ないと考察される。 切り取り調査8箇所(熱硬化6箇所、光硬化2箇所)において、工法の違いによる物性値の劣化度は全く見られず、また、施工地域差においても同様な結果である。 経年20年の現場は1件で資料数は少ないが、十分20年の材料耐久性能を維持できていると判断され、FRP内面補強工法(補強工法)は、修繕(補修)の定義から必要耐用年数を求められないが、管渠の補強対策として長寿命化に必ず寄与出来ていると検証される。 当協会では今後も本調査を継続して補修材のクリープ劣化を追及していく方針である |