(2015〈平成27〉年度〜2018〈平成30〉年9月) |
1) | 全国の自治体で追跡調査の承諾が得られた6地区7市町村においてFRP内面補強工法での補修箇所のTV調査および切り取り調査を実施し、補修箇所の機能(止水・補強)状況、および経年による補修材の残存強度を調査し耐久性について確認する。 |
1) | 平成27年度 | 関西地区 兵庫県 平成27年度 | |
2) | 平成28年度 | 北陸地区 石川県 平成28年7月29日 北陸地区 福井県 平成28年9月12日〜10月28日 関西地区 兵庫県 平成28年10月28日〜30日 |
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3) | 平成29年度 | 東北地区 福島県 平成30年1月11日 四国地区 愛媛県 平成30年1月27日〜29日 |
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4) | 平成30年度 | 関東地区 埼玉県 平成30年6月12日 九州地区 福岡県 平成30年9月13日 |
1) | TVカメラ調査 自治体より承諾を得られたFRP内面補強工法(熱硬化・光硬化)の補修箇所を高圧洗浄後、TVカメラ調査によりビデオ・写真撮影し評価判定する。 |
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2) | 切り取り調査 自治体より承諾を得られたFRP内面補強工法(熱硬化・光硬化)の補修箇所を高圧洗浄後、ロボットカッター等で施工物を採取し、公的機関等で供試体を成形し曲げ強さ試験(JIS K 7171 1994)を実施して経年における残存強度を検証する。 |
1) | TVカメラ調査 118箇所(内 切り取り6箇所) |
@ 北海道・東北地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 (調査当時) |
調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
福島県西白河郡中島村 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成8年 | 21年 | Φ200 | 7 |
A 関東地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 (調査当時) |
調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
埼玉県越谷市 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成24年 | 6年 | Φ250 | 3 |
B 中部・北陸地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 (調査当時) |
調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
石川県加賀市 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成6年 | 22年 | Φ200 | 1 |
福井県敦賀市 | ○ | ○ | 光硬化 | 平成11年 | 17年 | Φ250〜Φ350 | 11 |
C 関西地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 (調査当時) |
調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
兵庫県神戸市 | ○ | ― | 光硬化 | 不明 | 不明 | 取付管LP Φ150 本管VP Φ250 |
79 |
兵庫県神戸市 | ○ | ― | 光硬化 | 平成17、22年 | 5、11年 | 更生管 Φ250 | 7 |
D 中国・四国地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 (調査当時) |
調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
愛媛県松山市 | ○ | ○ | 光硬化 | 平成15年 | 15年 | Φ250 | 3 |
E 九州地区 |
調査箇所 | 調査方法 | 工法 | 施工年 | 経年 (調査当時) |
調査管径 | 調査数 | |
TV調査 | 切り取り調査 | ||||||
福岡県久留米市 | ○ | ○ | 熱硬化 | 平成18年 | 12年 | Φ200 | 7 |
1) | TVカメラ調査の結果 6地区の7市町村において、FRP内面補強工法で施工した補修箇所の施工後6年〜22年経過した本管部・接続部37箇所をTV調査した結果は、経年による不良・不敵箇所は見られず、補修目的である浸入水・クラック等の補強対策等十分に機能を保持していることが確認できた。 特に今回は、福島県西白河郡中島村と石川県加賀市で調査当時、経年21年、22年の補修箇所を調査することができたが、高圧洗浄後にカメラを入れたところ、どちらの箇所にも変色も見られず端部の樹脂が補修材端部を防護し良好な状態であった。 また、取付管については兵庫県神戸市鈴蘭台において調査を行った。残念ながら布設年月日が不明であるが、異常なくライニング管として十分機能を維持していることが確認された。 |
2) | 関東地区(埼玉県越谷市) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成24年度に施工した1スパン3箇所のFRP内面補強箇所は、下記表に示す通り経年6年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。表面のガラス布目が見られるが、ガラスクロスと不織布によって樹脂が含浸されていて物性強度の問題はない。
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3) | 中部・北陸地区@(石川県加賀市) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成6年度に施工した1箇所のFRP内面補強箇所は一体型であったが、剥離も無く、下記表に示す通り経年22年後においても、異常、不良箇所は見られない。また、切り取った後クラック部にFRP樹脂が注入されているのが確認された。クラック部の止水・補強、及びクラックの拡大を防止し、内面補強の役割を果たしていることがわかる。 補修材の変色も見られず端部の樹脂が補修材端部を防護し良好な状態である。
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3) | 中部・北陸地区A(福井県敦賀市) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成11年度に施工した6スパン11箇所のFRP内面補強箇所は、下記表に示す通り経年17年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。施工後17年経過しているが、樹脂の剥離、摩耗等見受けられず良好な状態を保持している。
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4) | 関西地区(兵庫県神戸市) @ TVカメラ調査内容
平成17、22年度に施工した一体型材料を使用した5スパン7箇所において異常、不良箇所は見られず下記表に示す通り経年5、10年後においても、当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。 取付管接合部付近の一体型補修材料を用いた箇所はスカム等の付着、表面のガラス布目が見られるが、剥離、摩耗等は見られず良好な状態であることがわかる。
また、取付管ライニングにおいても、シワ等は施工時のもので樹脂表面の異常は見られない。
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5) | 中国・四国地区(愛媛県松山市) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成15年度に施工した1スパン4箇所のFRP内面補強箇所は、下記表に示す通り経年14年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。樹脂の剥離、摩耗等も見られず、良好な状態を維持していることがわかる。
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6) | 九州地区(福岡県久留米市) @ TVカメラ調査内容
A 切り取り調査内容
平成18年度に施工した1スパン7箇所のFRP内面補強箇所は、下記表に示す通り経年12年後においても、異常、不良箇所は見られず当初の補修目的(クラック補強)を維持していることが確認された。また、切り取った後クラック部にFRP樹脂が注入されているのが確認され、クラック部の止水・補強、およびクラックの拡大を防止して内面補強の役割を果たしていることがわかる。
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イ) |
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ロ) | 経年による曲げ弾性率の推定値 6地区で切り取った供試体は、施工後下記の経年経過していて、その各々の基本物性値の劣化推定値は、FRP内面補強工法の材料(標準T)クリープ試験結果の回帰式を使用して推定値を求める。 |
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1) | 経年時の曲げ弾性率保持率の回帰式 Y=-4.3952X+97.41 (JIS K 7116試験結果より) Y:経年時の曲げ弾性率保持率 (%) X:経年時間 (log 分) |
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2) | 経年時の曲げ弾性率の推定値を求める。 経年時の曲げ弾性率推定値=短期保証値(5,900MPa)×弾性率保持率 (%) |
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3) | 修繕のFRP補修材は、土被り・地下水位等より材料の曲げ弾性率により補修材の厚みを検討するために、経年時の曲げ弾性率の劣化度がクリープ試験の回帰線(理論値)に対しどの様な状態かを検証するものです。 |
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切り取り調査のまとめ(物性試験の結果) |
ハ) | 物性試験の結果 平成17年度に全国8地区、また平成24年度同じく全国8地区での切り取り調査を実施し、今回も全国6箇所の切り取り調査を実施し、石川県加賀市、福島県白河郡中島村の2地区では経年21年、22年での調査であったが、物性値のクリープ劣化は大きな変化は無い結果となった。 また、経年6年〜17年の資料においても、顕著な劣化現象は見られず、いずれも短期保証値(曲げ強さ・曲げ弾性率)を上回る結果となった。 |
第6回切り取り調査の結果は、第5回切り取り調査(平成24年度)と同様に、調査6地区全て経年(6〜22年)による補修材のクリープ劣化は、短期保証値を上回る結果であった。 本来補修材の物性値は経年によってクリープ劣化するが、本調査では顕著な劣化現象は見られない結果となった。JISの長期クリープ試験は、水中・気中試験とも、試験供試体(平板・リング)に一定の荷重を架け応力状態でのクリープ試験であり、FRP内面補修材は既設管きょの内面に部分的に補修されていて補修材に常時応力が発生することが少ないために、JISクリープ試験(理論値)より劣化度が少ないと考察される。 経年20年の現場は2件で資料数は少ないが、十分20年の材料耐久性能を維持できていると判断され、FRP内面補強工法は、修繕(補修)の定義から必要耐用年数を求められないが、管きょの補強対策として長寿命化に必ず寄与出来ていると検証される。 当協会では今後も本調査を継続して補修材のクリープ劣化を追及していく方針である。 |